デイリー・アップデート

2023年6月5日 (月)

[米国] 労働省によると、5月の非農業部門雇用者数(事業所調査)は前月から33.9万人増加し、市場予想(19万人増)を上回った。その一方で、雇用者数(家計調査)は同▲31.0万人と減少した。これには自営業者数の減少などが反映されており、解釈が難しかった。失業率は3.7%となり、約53年ぶりの低水準となった4月の3.4%から上昇した。また、平均時給は前年同月比+4.3%、前月比+0.3%と、それぞれ4月から▲0.1pt縮小したものの、3月並みであり、上昇ペースに大きな変化はなかった。

[米国] 6月2日、ブリンケン国務長官はフィンランドにて、北欧諸国訪問を締めくくる形で、ロシアのウクライナ侵攻について演説を行った。同国務長官は、ウクライナ侵攻はロシアのプーチン大統領の意図に反した結果を招いた「戦略的な失策」であると説明し、米国は必要とされる限り、ウクライナ支援を継続すると述べた。「公正で恒久的な平和」を実現できるのであれば、米国は中国等の外交努力を支える準備があり、ロシア軍の撤退に対して制裁緩和という道筋もあり得ることを示唆した。

[米国] 6月2日、バーンズCIA長官が5月に秘密裏に訪中し、中国の諜報機関のカウンターパートと会談を行っていたことが明らかになった。バイデン政権は、最近中国政府の高官レベルとの協議を再開させて米中関係の安定化を図る動きを示しているが、2023年2月に発生した米国大陸を横断した中国の偵察気球撃墜事件を契機に、両国関係は悪化の一途を辿っていた。6月3日から開催されたシャングリラ会合における米中国防相会談は、中国側が拒否して実現しなかった。

[ロシア/ウクライナ] 6月5日、ロシア国防省はウクライナのドネツク州で、同国による大規模な攻撃を阻止し、数百人のウクライナ軍兵士を殺害したと発表した。この攻撃における前線の司令部には、ウクライナ侵攻の総司令官を務めるゲラシモフ参謀総長がいたことも明らかにした。

[豪州/東南アジア/中国] 6月5日、豪ローウイ国際政策研究所は、2015年から2021年にかけて東南アジアで約100の国や国際機関が行った10万以上の開発プロジェクトの資金調達を追跡したレポートを発表した。同地域は年間約280億ドルの公的開発資金を受け取っており、中国は2015年から2019年までトップのドナーであったが、コロナウイルス流行後に供与額が減り始め、アジア開発銀行と世界銀行の額を下回った。中国が海外よりも国内を優先したいと考えるようになっていることや、ラオスを含むいくつかの債務国の債務返済問題が影響しているとしている。

[中国] 6月2日に開かれた国務院常務会議で、新エネルギー車(NEV)の取得税免除政策の継続により潜在消費をより大きく引き出す必要性が指摘された。税率は車両価格の10%で、2014年から免除されているが、2023年中は継続することが決まっている。一方、NEVの補助金は年々減少し、2022年末に終了した。今回の会議での指摘は、取得税免除政策の延長継続に向けたシグナルではあるが、主管当局は現段階でその詳細をまだ発表していない。

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