デイリー・アップデート

2023年6月30日 (金)

[ベトナム] 6月29日、ベトナム統計総局(GSO)は、速報値として、2023年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率が前年同期比+4.14%だったと発表した。前期の+3.3%を上回ったものの回復ペースは緩やかと言える。実質GDPに占める比率が42.9%と最大であるサービス業が、同+6.11%となり、そのうち特に内需を支える主要産業であるホテル・レストラン、運輸が好調を維持し経済全体を支えた。

[日本] 総務省によると、6月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.1%となり、上昇率は5月から0.1pt縮小した。また、生鮮食品を除く総合(コア指数)は+3.2%となり、5月から0.1pt拡大した。家庭用電気料金の引き上げが影響して、電気代が5月の▲16.1%から▲10.9%へと下落率を縮小させた。なお、電気・ガス価格激変緩和対策事業によって、物価は0.9ptほど押下げられているため、この政策効果がなければ、消費者物価指数は+4.0%程度の上昇だった計算になる。

[南アフリカ] 先週、国営電力会社Eskomの債務救済パッケージが国会で承認され、南アフリカの電力業界のアンバンドリング(分割)が加速するとみられている。これによりEskomによる電力部門の独占が終わり、3つの独立した部門(発電、送電、配電)に分割することが可能になる。また分割に伴い、Eskomの230億ドルともいわれる負債も、それぞれに分割されることになる見通し。

[スウェーデン/中東諸国] 6月28日にストックホルムのモスクの前で、イラク人移民男性がコーランを燃やすデモを実行したことに対し、中東諸国から激しい非難が起きている。スウェーデンのNATO加盟のカギを握るトルコの外相は、「非常に不快で卑劣極まりない。表現の自由を理由にして反イスラムデモを許すことは容認できない」と強く非難。またイラクの首都バグダッドでは、デモ隊がスウェーデン大使館に侵入する騒ぎが発生。イラン政府やモロッコ政府なども、スウェーデン大使を呼び出すなどして強い非難を表明している。

[米国] 6月29日、米連邦最高裁は、大学入学選考に際して候補者の人種を判断材料とすることは憲法違反であるとの判決を下した。米国では長らく、学生の多様性確保の観点から、入試合格者を決定する際に人種を考慮することが認められてきたが、連邦最高裁の保守派判事6名によって、マイノリティ優遇措置が覆されることになった。今後、企業の採用活動にも影響を及ぼすことは必至とみられ、長期的には米国の社会移動性をも左右しかねない。判決の直後バイデン大統領は、同判決に不同意であると記者団を前に発言した。

[中国] 6月28日、中国全国人民代表大会常務委員会は、外交の基本方針などを定めた「対外関係法」を可決した。7月1日から施行される。法律の内容は①(欧米主導の)国際法に中国の主張や解釈を広めていくこと、②外交政策における習近平の思想の貫徹、③党中央外事工作委員会が外交政策決定・管理の最高機関となること、④中国に対する他国の輸出規制や制裁措置などへの対抗、という側面がある。個人にも法律遵守の義務が課され、外国組織や外国人も中国の利益を損害する行為、安全を危険にさらす行為、社会公益を害する行為をしてはならないとされており、内容の曖昧さが懸念されている。

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