デイリー・アップデート

2023年6月2日 (金)

[ユーロ圏] 欧州統計局(Eurostat)によると、5月の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+6.1%となり、4月(+7.0%)から上昇率を縮小させた。物価上昇は次第にペースを鈍化させているものの、欧州中央銀行(ECB)の中期目標である2%を大幅に上回っている。食料品が+12.5%と上昇する一方で、エネルギーは▲1.7%と下落した。また、サービスは+5.0%と3か月連続で5%台を維持するなど、食料品・エネルギーを除くコア指数が+5.3%と高く、物価の基調が強い。

[ブラジル] 2023年第1四半期のブラジルの経済成長率は、前期比+1.9%と予想を上回った。農業が前期比+21.6%と大きな伸びを示す一方、ITや接客業などパンデミック後の成長の重要な原動力となった「その他サービス」は、牽引力を失った。消費については、財政拡大がプラスに働いてはいるものの、金融引き締めの結果、雇用の伸びが弱まっていくことが予想され、今後は減速していく可能性がある。

[中央アジア/EU] 6月2~3日にキルギス共和国北東部のチョルポン-アタ市で、第2回の「EU・中央アジアサミット」が開催される 。中央アジア5か国の首脳と、ミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)が参加する予定。EUは中央アジア諸国との経済協力のほか、ロシアの制裁逃れ(中央アジア各国向けとした通過貨物をロシアが輸入している等)を阻止するよう、中央アジア各国の政府に輸出入管理などの強化を訴えている。

[米国/日本] 6月1日、オースティン米国防長官が訪日し、岸田総理、林外相、浜田防衛相、秋葉国家安全保障局長と会談を行った。同国防長官は、日本が反撃能力を整備することを歓迎し、インド太平洋地域情勢、日米同盟や日米韓協力関係のさらなる深化等について協議した。この後シンガポールに赴き、シャングリラ対話に参加する予定。シンガポールでは米中国防相会談が実現するか否かが注目されていたが、今のところ会談は実現しない見込み。同国防長官は、さらにインド、そしてフランスを訪問する予定になっている。

[米国] 連邦政府の法定債務上限を一時凍結し引き上げる「2023年財政責任法」は、下院本会議に続き上院本会議でも賛成多数で可決され、バイデン大統領の署名のために送付され、デフォルトは回避されることになる。下院本会議での採決では共和党が多数党を占める中、超保守派の反対票が71票にとどまったが、これはマッカーシー下院議長の説得工作によるものとみられており、その結果、最終的に賛成票が下院の過半数を大幅に上回る317票に達したことは、マッカーシー氏の指導力によるものと評価されている。

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