デイリー・アップデート

2023年6月29日 (木)

[インド]  6月13日、政府は、2020年に始まった製造業振興策「生産連動型奨励(PLI)制度」により、2022/23年度(2022年4月~23年3月)までに、6,250億ルピー(約1兆829億円)の投資が誘致されたと発表した。現行14分野を対象に、内資・外資企業とも一定割合の補助金を5年間前後享受できる。政府は、この制度により、生産、販売、輸出で押し上げ効果があったほか、製造業分野での海外直接投資(FDI)が大幅に増加したことを示しているとし、今後さらに対象の分野を拡大することも検討している。

[日本] 経済産業省「商業動態統計」によると、5月の小売業販売額は前月比+1.3%と、2か月ぶりに増加した。前年同月比は+5.7%と1年以上プラスが継続しており、販売額は水準を切り上げ、さらに増加方向にあることが示されている。販売額の内訳をみると、百貨店での衣服、ドラッグストアでの化粧品類、家電大型専門店でのカメラ類の販売額が増えたことから、コロナ禍から日常生活に戻る動きがみてとれる。一方で、ドラッグストアで食品販売が増加していることなどから、高騰する物価への消費者の対応もうかがえる。

[サブサハラ] 世界銀行は、2023年のサブサハラの経済成長率を3.1%(従来は3.5%)に下方修正した。2022年の3.6%からの鈍化となる。世界経済の減速が、同地域の多くの国が抱える過剰債務の問題も悪化させ、財政政策の余地が狭められているとしている。また、ウクライナ紛争の長期化などの影響もあり、消費、投資、政府支出が押し下げられており、中期的にも年率5%を下回る可能性が指摘されている。

[米国] 6月27日、マッカーシー下院議長(共和党)は出演したCNBCの番組の中で、2024年大統領選挙に関連する質問に対して、トランプ前大統領が共和党の最強の候補であるかはわからないと発言した。また同氏は、トランプ氏が連邦大陪審に起訴され当局の捜査対象となっていることについて、「煩わしいことになっている」との見解も示した。トランプ氏については、共和党候補の指名を獲得した場合でも、実際に当選できるのかという「当選可能性」が疑問視されている。

[中国] 6月27日、大名城、保利発展、福星株式、中交地産など不動産企業4社のリファイナンス申請が承認された。2022年11月、証券監督管理委員会は、不動産企業の合併・再編やリファイナンスの再開などを推進すると発表しており、このたびその第1陣として4社のリファイナンスが承認されたことになる。同委員会は、調達した資金が住宅引渡しの遂行、低価格住宅の建設、バラック地区の再開発、再定住住宅の建設など、政策に沿って使用されるよう誘導するとしている。

[米国] 6月28日、バイデン大統領は米国経済について演説を行った。大企業や富裕層に対する減税が結果的に経済成長を促し、経済利益が国民に均霑(きんてん)する、という考え方を批判し、中間層支援を通じて米国の産業力強化を図ると述べた。コロナ禍によって苦境にあった米国経済は、バイデン政権下で急回復を遂げたとしてその成果を喧伝(けんでん)し、政権の次なる経済課題は、大企業や富裕層に対する課税強化だと発言した。

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