デイリー・アップデート

2024年10月2日 (水)

[インド] 9月28日、政府は非バスマティ白米の輸出禁止を解除した。この輸出禁止は2023年7月に導入され、国内市場で主要な商品をより低価格で十分に供給することを目的としていた。今回の解除は、現在のインド食品公社の米在庫が適切に確保され、今後数か月で豊作が期待できる状況を反映している。この解除により、非バスマティ白米の世界供給が大幅に増加し、関連価格の引き下げにつながる見込みである。

[ユーロ圏] EU統計局(Eurostat)によると、9月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+1.8%となった。上昇率は8月(+2.2%)から縮小し、2021年6月以来、3年3か月ぶりに欧州中央銀行(ECB)の中期目標である2%を下回った。内訳をみると、エネルギー(▲6.0%)が主要な押下げ要因だった一方で、サービス(+4.0%)は5か月連続で4%台を維持するなど、高止まりしている。10月のECB理事会で利下げが実施されるという見方が強まった一方で、エネルギー価格下落の影響が剥落すれば、物価上昇率が再び拡大するという見方もある。

[ドイツ/UAE] アブダビ国営石油会社(ADNOC)は、1年以上に及んだ独素材大手Covestro買収交渉で合意に達し、負債込み147億ユーロで買収する契約を締結した。Covestroはバイエルから2015年に分離独立した企業で、さまざまな業界で使用されるポリマー材料製造で最大手の一角。ADNOCにとっては石油から石油化学・ガスなどへの多角化を目指す一環で、湾岸諸国による外資企業買収としても最大規模。最近、デンマークDSVがドイツ鉄道傘下の物流部門DBシェンカーを143億ドルで買収したり、伊ウニクレディトが独コメルツ銀行の株を取得したりするなど、外資によるドイツ企業の買収が相次いでおり、独国内で議論を巻き起こす可能性がある。

[ケニア] 10月1日、国会でリガティ・ガチャグア副大統領に対する弾劾手続きに関する動議が提出された。動議を提出したルト大統領に近しい議員らは、ガチャグア副大統領が6月に50名以上の死者が出た反政府デモの扇動や、汚職、資金洗浄など11の罪状を挙げている。弾劾動議が可決されるには、国会議員の3分の2以上の支持が必要となり、10月8日にガチャグア副大統領による答弁が行われる予定。同氏はこれらの疑惑を否定し、強く反発しているが、デモ後にルト大統領が行った内閣改造で野党幹部らが入閣した結果、ガチャグア副大統領は孤立を深めていると報じられており、同氏が弾劾される見込みは高いとみられる。

[バングラデシュ] 国際通貨基金(IMF)のミッションチームが9月24日から30日までダッカを訪問し、政府高官と意見交換を行った後、声明を発表した。暫定政府がタイムリーに設立されたことで、政治と治安の状況が安定し、経済の正常化に向けた段階的な復帰が促進されたと評価した。経済活動は著しく減速し、インフレは2桁台にとどまり、外貨準備に圧力がかかっているが、IMFスタッフは政府の金融引き締めや支出の合理化を含む取り組みを支持し、同国とその国民を支援する確固たるパートナーであり続けるとした。

[イラン/イスラエル] 10月1日、イランはイスラエルに対し約180発の弾道ミサイルを発射した。イランの国連代表部は、この攻撃はイスラエルの「テロ行為」に対する「合法的かつ合理的で正当な対応」であると述べた。イランはこの攻撃の時期と範囲について事前に国際社会に通知しており、2024年4月の攻撃と同様、米/イスラエル両軍に迎撃の準備をさせた上で抑止力の維持を目的とした限定的な攻撃だったとみられる。大半のミサイルは撃墜されイスラエル側に死者は出ていないとのことだが、イスラエル軍報道官は報復を示唆している。

[米国] 10月1日、米国の港湾労働者が一斉ストライキに突入した。東海岸、メキシコ湾岸における30か所以上の港湾施設でストライキが行われ、米国のコンテナ貨物の約6割がこれら東海岸の港湾を経由すると言われている。国際港湾労働者協会(ILA)は当初、6年間で77%の昇給を要求していたが、10月1日時点では61.5%昇給まで姿勢を軟化させているもよう。バイデン政権は、雇用側に対して、速やかに労働者と公正な契約を交わすべきであると声明を発表している。

[NATO] 10月1日にオランダの前首相であるルッテ氏が事務総長に就任した。初の記者会見で優先事項として挙げたのは、①あらゆる脅威に対する軍事能力の確保、②ロシアの侵略行為に対するウクライナの反撃支援、③Euro-Atlanticの安全保障に対するグローバルな課題増大に対処することの3点。

[米国/中国] 10月1日、米商務省は、東南アジア4か国のソーラーパネルに新たな関税(補助金相殺関税)を課すと発表した。韓国のハンファQセルズなど複数の企業が起こした申し立てに対して、商務省は2024年、二つの予備的決定を下す予定で、その最初の決定となる。申し立ては、マレーシア、ベトナム、タイ、カンボジアで操業する中国企業による安価な輸入品との競争が、気候変動対策に必要なクリーンエネルギー技術の国内生産を促進するというバイデン政権の目標を脅かしていると主張し、中国メーカーは政府から安価な融資、電気、土地、免税措置などの形で手厚い補助金を受け取っていると訴えている。

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