2024年10月17日 (木)
[アルゼンチン] 米州開発銀行はアルゼンチンへの38億米ドルの支援を発表した。ゴールドファイン総裁は、2023年末に対GDP比2.9%だった基礎的財政収支の赤字が、2024年8月末には対GDP比1.5%の黒字に転換させたことを称賛した。
[エチオピア] 10月16日、政府が100%所有する通信大手エチオ・テレコムの株式の売却が開始された。これはアビィ首相が進める国営企業の民営化、経済の自由化に沿ったもので、政府は以前から同社の10%の所有権を売却すると発表していた。同社によると今回の株式公開の第一段階では、1株300ブル(約2.5ドル)の普通株式1億株(約250億ドル)を同社のモバイル決済プラットフォーム(Telebirr)を通じて販売する。国内に7,900万人のユーザーを持つエチオ・テレコムは、新設されるエチオピア証券取引所への上場プロセスを進めており、さらに45%の株式の投資家への売却を検討している。
[オーストラリア] 世界的に電子決済の普及が進んでいるが、中国や北欧などでは現金利用のしづらさについての指摘もある。オーストラリアでも電子決済が進んだことで、2023年、200以上の銀行支店が閉鎖され、この5年間で6,000台のATMが取り払われた。高齢者や旅行者のような現金利用者にとってはますます厳しい状況となっている。近隣に現金調達手段があればよいが、オーストラリアも奥地に行くと、最寄りの支店やATMまで、場合によっては何時間も車に乗らざるを得なくなる。今週の月曜日(10月14日)にはウェストパック銀行のオンラインバンキングが突然クラッシュした。この問題は同日午後には解決されたと銀行は述べたが、16日水曜日になってもログインできないとの顧客からの不満も上がってきている。電子決済の普及と現金利用はトレードオフの関係だが、経済の根幹を為すはずの現金利用がますます難しくなっているという課題も浮き彫りなっている。なお、支店・ATMの整理が一段落したことを受けて、オーストラリアの大手銀は2026年末まで地方の支店を閉鎖しないとのコミットメントを表面している。
[アジア] 韓国とタイでは約4年半ぶりに利下げサイクルが開始された。韓国銀行(中央銀行)は10月11日、政策金利(7日物レポ金利)を0.25%pt引き下げ、年3.25%とすることを決定し、即日実施した。タイ中央銀行は10月16日、政策金利(翌日物レポ金利)を0.25%pt引き下げ、年2.25%とした。また、同日、フィリピン中央銀行も政策金利(リバースレポ金利)を0.25%pt引き下げ、年6.0%とした。これは8月に続く2会合連続の引き下げだった。一方で、インドネシア銀行(中央銀行)は同日、政策金利(7日物リバースレポ金利)を6.00%で据え置いた。今回の据え置きは、9月に0.25%ptの利下げを開始して以来、初めての政策決定だった。最近の通貨安が収束すれば、今後数か月でさらなる利下げが行われるとみられる。
[日本] 財務省「貿易統計」によると、9月の輸出額は9兆382億円、前年同月比▲1.7%と10か月ぶりに減少した。内訳をみると、半導体等製造装置が増加した一方で、自動車や鉱物性燃料、建設用・鉱山用機械が減少した。また、輸出数量は▲6.9%と8か月連続で減少した。また、輸入は9兆3,325億円、+2.1%と6か月連続で増加した。電算機類や半導体等電子部品、医薬品が増加した。差し引きは▲2,943憶円と3か月連続の赤字となった。
[北朝鮮/韓国] 北朝鮮が10月15日に韓国へとつながる鉄道・道路の一部を爆破したことにより、南北間の緊張が高まっている中、10月17日、北朝鮮の朝鮮中央通信は爆破について「大韓民国を徹底した敵対国家として定めた憲法の要求」と、韓国政府の挑発に対応するための措置と報道した。北朝鮮はこれに先立ち、最高人民会議(国会)を開いて憲法改正を行ったが、改憲内容は明らかになっておらず、朝鮮中央通信の報道により、韓国を敵対国と規定する内容を盛り込んだことが確認された。米大統領選後に米国との交渉を自国のペースで進めるため、北朝鮮は挑発活動を強めているとみられている。
[インド/カナダ] 10月14日、カナダ政府は、カナダでインドのシク教指導者が2023年9月に殺害された事件について、捜査への協力を拒否したインド外交官6人の国外追放を決定した。インドも対抗措置として駐インドカナダ大使代理ら6人に出国を要請した。カナダとインドの関係はかつてなく悪化している。
[米国/ドイツ] バイデン大統領は10月17日からドイツを訪問する。ウクライナ支援や中東情勢、経済、貿易に関する協力関係などについて、ショルツ独首相と協議する予定。また、12月初旬にはアンゴラ訪問も計画されていることが併せて公表された。バイデン大統領は10月10日からドイツ、アンゴラを訪れる予定だったが、ハリケーン・ミルトン対応のため、外遊を延期していた。アンゴラではロビト回廊整備などが議題となる予定。11月にはAPEC首脳会議(ペルー)、G20首脳会議(ブラジル)も開催され、そのいずれかにおいて米中首脳会談が開かれるのではないかと取り沙汰されている。
[米国] トランプ前政権末期の2021年1月6日に、民主党候補であったバイデン氏の2020年大統領選挙での勝利を阻止する目的で、大統領選挙人の投票確定作業を行っていた米議会上下両院合同本会議の作業を停止すべく、トランプ支持者らが米連邦議会議事堂を襲撃、乱入する事件が発生した。これを受け、下院管理委員会に所属している民主党下院議員のスタッフらは、2024年大統領選挙後に4年前と同様の事態が発生することを阻止するための準備に本格的に着手し始めた。
[ウクライナ] 10月16日、ゼレンスキー大統領はウクライナ議会で演説し、戦争の公正な終結に向けた5項目の「勝利計画」を初めて公表した。計画の1点目は、加盟国への攻撃を全体への攻撃として扱う集団防衛の規定がある北大西洋条約機構(NATO)の加盟に向けた即時の招待である。その他、ウクライナや欧米諸国に対し、ロシアに対する抑止力の強化、戦略的かつ経済的な協定の締結、戦後、ウクライナ軍のNATO・欧州での活用などが盛り込まれている。
[EU/湾岸協力理事会] 10月16日に、史上初となるEUと湾岸協力理事会の首脳会合が開催された。持続可能な成長、エネルギー分野のパートナーシップ、貿易・投資関係の協議が行われたが、焦点となったのは地政学上の問題という側面からのウクライナ情勢と中東情勢とされる。今後2年ごとの首脳会合開催が合意され、2026年にはサウジアラビアでの開催が予定されている。
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