2024年10月29日 (火)
[ウルグアイ] 10月27日に行われた大統領選挙の第一回投票において、野党の左派連合フレンテ・アンプリオのヤマンドゥ・オルシ候補が、現職大統領の後任候補とされるデルガド候補に17%差をつけ勝利した。11月末の決選投票では、今回敗れたほかの連立与党候補者から流れてくる票が期待されることなどから、僅差ながらデルガド候補が有利との声も聞こえる。
[アフリカ] モ・イブラヒム財団は、アフリカ54か国を「治安・法の支配」、「参加・権利」、「経済機会」、「人間開発」の4つの分類からガバナンスを指標化する「アフリカ・ガバナンス・インデックス」を策定しているが、10月24日に同財団が発表したレポートによると、2014~2023年の間にガバナンスが改善した国は33か国で、21か国は悪化した。特に「治安・法の支配」の悪化が顕著だった。平均スコアも2014年の48.3(100が満点)から2023年の49.3と、10年間で1ptしか上がらなかった。54か国中、1位はセーシェル(75.3点)、2位はモーリシャス(72.8点)で、54位は南スーダンだった。なお、過去10年間で最も指標が悪化した国はチュニジアとコモロだった。
[日本] 総務省「労働力調査」によると、9月の完全失業率は2.4%となり、8月の2.5%から低下した。2024年1月(2.4%)以来の低水準になった。就業者数は6,814万人となり、前年同月から27万人増加した。増加は26か月連続。また、厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、9月の有効求人倍率は1.24倍となり、8月から0.01pt上昇した。上昇は2か月ぶりだった。新規求人倍率は2.22倍であり、▲0.10ptとなった。総じて、雇用環境は堅調さを保っている。
[米国] Cargill、Bungeなど農業大手が、米国バイオ燃料政策をめぐる不確実性から大豆購入を手控えているとブルームバーグ紙が伝えている。米国では再生可能ディーゼル・持続可能航空燃料用の大豆油需要増加を見込み、近年、大豆圧搾工場の投資が活況だった。しかし、カリフォルニア州の低炭素燃料基準(LCFS)により、炭素強度(CI)の低い廃食油等を原料とするバイオディーゼル生産が増加。中国からの使用済み食用油・ブラジルからの獣脂輸入が急増し、米国産大豆油を一部代替している。現在、45Zとして知られる税制優遇措置が、大豆や他の米国産作物と競合する外国産原料から作られた低炭素燃料に適用されるかが焦点となっている。
[中国] 10月27日、国家統計局が発表した9月の全国工業企業(年間売上高2,000万元(約4億2,877万円)以上の企業が対象)は前年同月比▲27.1%と、8月の同▲17.8%からマイナス幅が拡大し、2024年最大のマイナス幅となった。1~9月では前年同期比▲3.5%と、1~8月の同+0.5%からマイナスに転じた。マイナスは2023年1~12月以来となる。需要が弱い結果、製品価格が下落しており、企業利益が減っているほか、コスト上昇も響いた。
[米国] 深刻化する労働力不足緩和のため、農業自動化を導入する企業が増加している。このことにより農家のコスト管理が促進され、農場労働者の健康を過酷な天候から守ることにつながる可能性がある。さらに、植え付けや収穫、農場管理の精度が向上することで収穫量向上の可能性もあり、世界の食糧生産の課題の一部が緩和されることが期待される。しかし、小規模農家がこれらを導入するには厳しい障壁がある。導入には高価なコストがかかることに加えて、その「道具」が、代替する労働者と同程度に仕事をこなせるかどうか、という疑問にも及ぶ。そして、労働者の中には、自動化により仕事や労働の権利を失うことになると心配している人もいる。酪農でもテクノロジー導入が進んだことで牛の健康状態の把握などに貢献しているが、カメラによる監視やテクノロジー導入で労働者が余分なプレッシャーを感じることで、現場から新たな問題提起の声をあげづらくなることにつながりかねない。
[インド/スペイン] 10月28日、インドのグジャラート州バドダラでエアバスの軍用輸送機「C295」の組立工場の開所式が開かれ、モディ首相とスペインのサンチェス首相が出席した。同工場はインドで初となる民間企業による軍用機の製造拠点となる。タタ・グループの航空宇宙・防衛部門タタ・アドバンスト・システムズ(TASL)が運営を担う。
[米国/中国] 10月28日、米財務省は対中国(香港、マカオを含む)投資に係る最終規則を発表した。2023年8月にバイデン政権は大統領令を発し、国家安全保障の観点から、中国に対する投資活動を規制する意向を明らかにし、財務省が実施規則案を作成していた。規制対象となる技術分野は半導体、量子情報技術、人口知能(AI)システムの3分野で、取引内容によって、取引が禁止されるものと、政府への届け出(取引完了後30日以内)で済むものに区分される。民間企業側からは、対象取引の範囲を明確、かつ限定的に設定するよう、政府に対して積極的に働きかけていた。
[米国] 11月5日に米国大統領選挙と同時に投票が実施される上院議員選挙については、ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州といった東部・中西部の3州からそれぞれ選出されている民主党現職が改選期を迎えている。マコネル共和党上院院内総務に近い政治活動委員会(PAC)である上院リーダーシップ基金などは、3州における共和党上院議員候補を積極的に支援する中で接戦に持ち込むことに成功しており、民主党から議席を奪還する可能性が浮上しつつある。
[ポーランド/オランダ] 10月28日に開かれた外相会合で、フェルドカンプ外相(オランダ)とシコルスキー外相(ポーランド)が対ウクライナ支援強化で合意した。さらに、ジョージアの議会選挙に関して、選挙結果の不正疑惑に対応するようジョージア当局に要求したほか、ハンガリーのオルバン首相のジョージア訪問計画を非難した。
[ロシア] 10月25日、中央銀行は金融政策決定会合で、政策金利を2%引き上げて年21%にすると発表した。想定を上回るインフレが続いていると指摘し、利上げで抑制を図ると説明した。ウクライナ侵略開始直後の政策金利(20%)を上回り、2003年以来の水準となる。
記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。
レポート・コラム
SCGRランキング
- 2024年11月8日(金)
NHK World 『Newsline』に当社シニアアナリスト 浅野 貴昭が出演しました。 - 2024年11月7日(木)
『東洋経済ONLINE』に、米州住友商事会社ワシントン事務所調査部長 渡辺 亮司のコラムが掲載されました。 - 2024年11月6日(水)
『日刊工業新聞』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。 - 2024年11月2日(土)
『日本経済新聞』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。 - 2024年11月1日(金)
金融ファクシミリ新聞・GM版に、当社シニアエコノミスト 片白 恵理子が寄稿しました。