2024年10月16日 (水)
[南アフリカ] 10月15日、中銀にあたる準備銀行(SARB)は半期に一度の「金融政策レビュー」を発表し、2024年の実質GDP成長率は+1.1%で、2026年にかけて+1.8%に拡大するとの予測を示した。前回4月のレビューから2026年の成長率を+1.6%から0.2ポイント上方修正した理由として、電力供給の改善、物流セクターの改善、インフレ率および政策金利の低下を挙げた。SARBは2024年の平均インフレ率は通貨ランド高と燃料価格の下落を背景に+4.6%となり、向こう3四半期はインフレターゲットの中間値である4.5%を下回ると予測。しかし、世界経済の不確実性のリスクを考慮し、インフレの今後の動向を見定めながら、当面緩やかな金融引き締め策を継続する姿勢を示した。
[インドネシア] プラボウォ・スビアント次期大統領は、スリ・ムルヤニ・インドラワティ財務大臣を新内閣に再任する予定である。スリ氏は、10月14日に行われた両者の会談でプラボウォ氏から当該要請があったことを明らかにした。これにより、スリ氏は3人の異なる大統領の下で財務大臣を務める初の人物となる。プラボウォ氏の債務拡大計画により、地元の債券市場や通貨市場が不安定になっていたことから、次期財務大臣が誰になるかに注目が集まっていた。プラボウォ氏は、経済政策に関して、特に大規模な支出プログラムを支えるために国家財政を強化する必要性を強調したという。プラボウォ氏は、国防費の増加、公務員の給与引き上げ、妊婦や子どもに無料で食事を提供する280億ドル規模のプログラム、さらに新首都ヌサンタラの完成に向けた支出を含む野心的な支出計画を掲げている。また、年間経済成長率を5年以内に8%に引き上げるという目標も発表している。
[ドイツ] 欧州経済研究センター(ZEW)によると、10月のドイツ景気期待指数は13.1だった。9月(3.6)から上昇し、市場予想(10.0)を上回った。先行きについて、物価の安定と今後の利下げ、海外需要の持ち直しなどから、相対的に「改善」が「悪化」よりも多く、今後の回復への期待が高まった。それに対して、足元の状況を表す現況指数は▲86.9となり、9月(▲84.5)からマイナス幅を拡大させた。現状が「良い」に比べて「悪い」が圧倒的に多く、足元のドイツ経済の苦境を表している。
[米国] 米LendingTreeが2000人以上の消費者を対象にした調査によると、インフレの影響でハロウィーンでの支出を今年は抑えると回答した人が59%にのぼった。装飾品、キャンディ、パーティーグッズなどがその対象となり、18歳から27歳のいわゆるZ世代の74%は買い物を減らすと回答した。ただし、実際の支出額はインフレの影響もあって、172ドルと昨年の平均である162ドルから増加するようだ。「ハロウィーンで散在するつもりだ」と言っても、実際にお金を使い過ぎた人の49%は後悔に苛まれているそうだ。
[米国] 10月15日、米通商代表部(USTR)は、通商法301条に基づく対中追加関税に関して、適用除外申請の受付を開始した。機械類(HSコード第84類、85類)317品目が対象で、2025年3月31日まで受け付ける。バイデン政権は2024年5月に、対中301条関税の見直し作業を開始し、中国製電気自動車(EV)等に対する関税率の引き上げと同時に、国内製造業用の機械類に対しては適用除外措置を設けると発表していた。
[米国] 10月13日に放映された保守系テレビネットワークFox Newsの番組のインタビューで、トランプ前大統領は、11月5日の米国大統領選挙の投票日に混乱が生じた場合には、州兵や米軍を投入して「内側からの敵」を制圧する必要があるとの発言を行った。こうしたトランプ氏の発言に対して各方面から懸念が広がっており、第1期トランプ政権で国防長官に就任したマイク・エスパー氏は、米国民はトランプ氏の言動を深刻に受け止める必要があるとの見解を表明している。
[ロシア] 10月10日、英食品・家庭用品大手ユニリーバは、4工場を含めたすべてのロシア事業とベラルーシ事業を、ロシア企業アルネスト・グループに売却したと発表した。アルネスト・グループはウクライナ軍事進攻以降、欧米企業を買い集めており、米国の缶・ボトル・カップ等の製造大手ボール社やスイスの化粧品会社のオリフレーム、またオランダのビール大手ハイネケンのロシア事業はわずか1ユーロで買収した。
[EU/アルバニア] 10月15日の第2回EU・アルバニア政府間会議で、2014年に加盟候補となったアルバニアのEU加盟交渉が開始された。アルバニア代表団を率いるラマ首相は、2030年までのEU加盟という目標達成に「疑いの余地はない」とコメントしているが、通常EU加盟交渉には長い時間を要する。
[パキスタン/中国/ロシア/インド] 10月15日から上海協力機構(SCO)政府首脳評議会がイスラマバードで開催されている(16日まで)。中国から李強首相、ロシアからはミシュスチン首相、インドからジャイシャンカル外相が出席している。インド外相のパキスタン訪問は9年ぶり。
[米国/イスラエル/イラン] イスラエルのネタニヤフ首相は、10月9日に実施したバイデン大統領との電話会談で、イランからのミサイル攻撃に対する報復攻撃は同国の核施設やエネルギー関連施設ではなく軍事施設に対して行うと発言した、と10月14日付米ワシントン・ポスト紙が報じた。イスラエルは全面戦争を回避すべく、限定的な報復攻撃を計画しているとみられる。なお、攻撃は11月5日の米大統領選挙の前に実施される見込み。
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