2024年10月3日 (木)
[アイルランド] 政府は、気候変動対策の一環として炭素税を引き上げる。10月9日から輸送用の化石燃料から排出される二酸化炭素1トンの炭素税が、現行の56ユーロから7.50ユーロ引き上げられて63.50ユーロとなる。2025年5月1日以降は、家庭暖房用などほかの化石燃料の使用にも適用される。政府試算によると、自動車では60リットルのガソリン(ほぼ満タン)に対して10.84ユーロの炭素税を支払うことになり、これは現在支払っている額より1.28ユーロ高い。平均的なガス料金に対する炭素税は、月額1.40ユーロ以上増加する見込み。増収分は住宅や地域社会のエネルギー効率化対策に充当される。一方で貧困層への負担増加が懸念されており、支援を増税分から割当てることが約束されている。
[タイ] 9月26日、財務省物品税局は、企業の炭素排出量削減を促進するため、近々炭素税を導入する法案を閣議に提出することを明らかにした。年内の施行を目指している。しかし、同局は炭素税が一般市民のディーゼル燃料の使用には影響を及ぼさないと説明している。つまり、ディーゼル燃料の物品税は現行の1リットルあたり6.44バーツのままとし、そのうち平均0.46バーツが炭素税として割り当てられるため、消費者の税負担額は変わらない(二酸化炭素排出量に対する炭素税は1トンあたり200バーツに設定され、ディーゼル燃料は1リットルあたり0.0026トンを排出するため、炭素税は1リットルあたり平均0.46バーツとなる)。
[エチオピア] 10月1日、イヨブ財務国務大臣は総額10億ドルのユーロ債を保有する民間債権者団体向けの電話会議を実施し、エチオピアの対外債務再編に関する取り組みを説明した。同ユーロ債は2024年に償還を迎えるが、2023年12月に約3,300万ドルの利払いをエチオピア側が不履行にしたあと、債務返済の時期や条件に関して両者間でいまだ合意には至っていない。欧米の金融系メディアは、エチオピア側は額面価格の18%のヘアカットが必要だと説明したものの、債権者団体側は減額分の負担を不服とし、協議は今後も継続するもようだと報じている。
[イスラエル/レバノン] 10月2日、イスラエル軍はレバノン南部での地上戦で、同国の兵士8人(全員21~23歳の若者)が死亡したことを発表した。イスラエルは、同国北部の約6万人の住民がヒズボラからの絶え間ない攻撃のせいで別の場所に避難せざるを得ない状況になっており、北部住民を安全に自宅に帰還させるべく、ヒズボラの攻撃の拠点であるレバノン南部への「限定的」で「局所的」な地上侵攻を1日未明に開始した。侵攻に先立つ9月27日、イスラエルは、ヒズボラの指導者であるナスラッラー書記長を空爆で殺害している。
[米国] 10月2日、イランによる対イスラエル攻撃を受けて、G7首脳電話会議が開催された。G7首脳はイランによる攻撃を非難し、引き続き連携していくことで一致した。会議後、バイデン大統領は記者に問われ、イスラエルの応戦する権利は認めたものの、イラン核施設に対してイスラエルが攻撃するようなことがあれば、米国としては支持できず、報復攻撃はあくまで比例したものであるべきだとの認識を明らかにした。
[ウクライナ/ロシア] ロシア軍がウクライナ東部で徐々に支配地を広げている。 ロシア軍は10月2日、ウクライナ東部ドネツク州の要衝ウグレダルを制圧した。ゼレンスキー大統領は2日夜の声明で、ロシアとの戦いで東部ドネツク州が「特に難しい」とし、敵を消耗させるために長射程ミサイルによるロシア領内への攻撃容認を改めて求めた。
[EU] 9月30日にボレルEU上級代表が緊急のEU外相会合を招集した。ボレル氏は会合後に、中東地域の「政治的解決策の模索、軍事紛争の深刻化防止」のためのEUのリーダーシップを強調する目的で緊急招集したと発言するも、翌日の10月1日に上級代表の個人名義で声明文を出すなど、EU加盟国が中東地域における急速な緊張拡大に対して一枚岩になれていないとみられる。
[中国/EU/米国] 10月1日、ドイツのメルカトール中国研究所(MERICS)は、EU・米国と中国の貿易における相互の依存性に関するレポートを発表した。それによれば、2022年以降もEUと米国の中国製品に対する依存度は上がっているのに対し、中国のEUや米国からの輸入品に対する依存度は、鉄鉱石、石炭、大豆などの一次産品を除くと減少している。また一次産品を入れても、2001年には中国の貿易依存先として米国、EU、日本は全体の73%を占めていたのに対し、2022年にはこれらの国・地域の割合は35%に低下している。
[ミャンマー] 10月1日、軍政が2024年予定される総選挙の準備として国勢調査を開始した。15日に完了する予定だが、治安上の問題がある地域は調査が延長される可能性がある。軍政と少数民族武装勢力との戦闘は拡大しており、全土での調査は困難を伴うと予想される。国勢調査は14年以来10年ぶり。質問項目は前回の41項目から68項目に増えており、軍政の情報収集に警戒する声もある。
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