2024年10月21日 (月)
[米国/ドイツ/フランス/英国] バイデン大統領はドイツを国賓訪問し、10月18日午前にショルツ独首相と米独首脳会談を実施後、同日午後にベルリン入りしたマクロン仏大統領、スターマー英首相と米独仏英首脳会談を実施した。バイデン氏が米独首脳会談や米独仏英首脳会談で強く訴えたのは、西側諸国による対ウクライナ追加支援継続の必要性であるが、ウクライナは今後厳しい冬を迎える一方、11月5日に実施される米国大統領選挙では対ウクライナ支援に消極的なトランプ氏が当選する可能性が浮上。
[バングラデシュ] 中央銀行であるバングラデシュ銀行によると、8月の海外出稼ぎ労働者からの送金は、前年同月比約+39%、前月比+16.10%の22億ドルに達した。これにより、外貨準備高の急減を抑えることができる見込みである。7月は19億ドル(10か月ぶりの低水準)であった。7月の送金が減少した理由として、政府がインターネットの遮断を実施し、政府職の割当制度をめぐる抗議活動を抑制しようとしたため、月の中頃に出稼ぎ労働者が送金できなかったことが挙げられる。送金の低迷と輸入コストの増加により、同国の外貨準備高は2021/22年度(2021年7月~2022年6月)に前年度比▲15.1%と大幅に減少したが、その後2022/23年度は+2.8%、2023/24年度は+10.6%と増加が続いている。外貨危機は2022年半ばに深刻化し、必需品や商品価格が世界市場での供給網の混乱や新型コロナウイルスの影響、さらにロシア・ウクライナ戦争による影響で急騰し、輸入物価高騰によって輸入額が拡大し、外貨準備高不足に陥っていた。
[ロシア/貴金属] 金の国際価格は1トロイオンス2,700ドルを超えて史上最高値更新中。銀も12年ぶりに同34ドルに到達した。2022年にロシアが西側諸国から金融制裁(SWIFT排除・中銀資産凍結)を受けて以来、西側の一存で資産を失うことを恐れる新興国が外貨準備の一部として金を積極的に購入している。また9月にはロシア財務省が「貴金属・宝石」の購入に連邦予算を割り当て、金だけでなく銀・プラチナ・パラジウムも購入対象となっていると報じられた。ロシアは最近重要鉱物の輸出管理強化を示唆しており、動向が注目される。10月22日からロシア・カザンで開かれるBRICSサミットで、ロシアは参加国に対し、SWIFTに代わる国際決済システムの構築を提案する見通し。
[モザンビーク] 10月18日深夜、10月9日の大統領選に無所属で出馬したヴェナンシオ・モンドラーネ氏の顧問弁護士と、同氏を後援する「モザンビーク発展のための楽観的な党(PODEMOS)」の報道官の2名が、乗用車でマプト市内を移動中に何者かによる銃撃に遭い死亡した。10月24日までに選挙結果が公表される前に、モンドラーネ氏は政府が選挙結果を不正に操作していると訴え、10月21日に全国規模のゼネストを呼びかけている中での事件となった。国連のグテーレス事務総長は事件を強く非難するとともに、国民に対して自制を促した。選挙監視団を派遣しているEUのボレル上級代表も「モザンビーク政府による迅速な捜査を要請する」と述べた。
[イスラエル/レバノン] 10月19日、テルアビブの北方約50㎞のカイサリアにあるネタニヤフ首相の私邸が、ヒズボラによるものとみられるドローン攻撃を受けた。飛来した3機のドローンのうち、2機はイスラエル軍が撃墜したが、残りの1機が私邸近くに衝突し爆発した。事件発生時ネタニヤフ氏の家族は私邸にはおらず、負傷者は無かった。ネタニヤフ氏は声明で、自身や家族を暗殺しようとしたのは重大な過ちであるとし、報復を宣言。ヒズボラはトップや幹部の多くが殺害されたが、イスラエルへの攻撃を継続している。
[米国] 10月19日、国際機械工労働組合(IAM)は、ボーイング社との間で暫定合意に至った。雇用側は今後4年間で35%昇給、ボーナス支給などを提示し、23日に組合員投票にて過半の承認を得られれば、1か月以上に及ぶボーイング社シアトル工場のストライキが終結する。9月にボーイング社は業績悪化を受けて、全世界従業員の10%に相当する1.7万人の解雇などを発表しており、IAM組合員3.3万人がシアトル工場にてストライキに突入していた。
[モルドバ] 10月20日、旧ソ連の東欧モルドバで、大統領選挙と欧州連合(EU)への加盟を問う国民投票が行われた。開票速報では、親欧米派でEU加盟を目指す現職のサンドゥ大統領が、支持率約4割弱でリードしているが過半数に至っておらず、選挙は投票一回で決着せず、決戦投票にずれ込む可能性が高い。一方、EU加盟への是非を問う国民投票は、開票率90%の時点で加盟反対が53%となっている。
[EU/NATO] 10月17日から開かれたEUサミットやNATO国防相会合などで、ゼレンスキー大統領が「勝利計画」を提示した。しかし、ウクライナのNATOへの即時加盟やロシア領内での西側製長距離ミサイルの使用承認が含まれていること、それに対してロシアが警告していることから、EU加盟国やルッテNATO事務総長は慎重な姿勢を崩さなかった。
[インドネシア] 10月20日、プラボウォ・スビアント氏が大統領、ギブラン・ラカブミン氏が副大統領に就任した。プラボウォ新大統領は、ジャカルタで行われた就任式の演説で、食料自給率とエネルギー自給率の向上を優先事項に挙げた。閣僚名簿も発表され、スリ財務相ら主要経済閣僚は留任となった。
記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。
レポート・コラム
SCGRランキング
- 2024年12月3日(火)
『日本経済新聞(夕刊)』に、米州住友商事会社ワシントン事務所長 吉村 亮太が寄稿しました。 - 2024年11月28日(木)
ラジオNIKKEI第1『マーケットプレス』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行が出演しました。 - 2024年11月19日(火)
『週刊金融財政事情』2024年11月19日号に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行が寄稿しました。 - 2024年11月18日(月)
『Quick Knowledge 特設サイト』に、当社シニアエコノミスト 鈴木 将之のQuick月次調査・外為11月レビューが掲載されました。 - 2024年11月15日(金)
TBSラジオ『週刊・アメリカ大統領選2024(にーまるにーよん)』TBS Podcastに、米州住友商事会社ワシントン事務所調査部長 渡辺 亮司が出演しました。