デイリー・アップデート

2024年10月10日 (木)

[日本] 日本銀行によると、9月の国内企業物価指数は前年同月比+2.8%だった。上昇率は8月(+2.6%)から拡大し、7月(+3.0%)の水準になった。内訳をみると、農林水産物(+12.4%)や非鉄金属(+9.7%)、電力・都市ガス・水道(+7.9%)などの上昇が目立った。また、輸入物価指数(円ベース)は▲2.6%と、8か月ぶりのマイナスだった。輸入物価のうち石油・石炭・天然ガス(▲7.2%)などが低下した影響が大きかった。

[リチウム] 鉱業大手Rio Tintoが米Arcadium Lithiumを現金67億ドル(1兆円弱)で買収する。Arcadiumは2024年初に米Liventと豪Allkemの対等合併により誕生した企業。これにより、Rioはリチウム生産で米Albemarle・チリSQMと並ぶ世界最大手の一角となる。Rioはエネルギー転換に必要な材料の供給力を高める長期戦略の一環で、以前からリチウムに着目。Rioによるセルビアのリチウム開発プロジェクトは、住民の反対に直面しているが、今回の買収でアルゼンチン・豪州・北米の生産資産を獲得する。Rioは2007年に380億ドルを費やしたAlcan買収が後に損失を生んだが、今回は「逆張り」戦略。過去2年のリチウム暴落で多くの企業が設備閉鎖・投資縮小に追い込まれる中、「大規模・低コスト」戦略で供給過剰の時期でも安定収益を生み出す戦略、との見方もある。

[EU] 10月9日に行われた加盟国EU大使の投票で、9月20日にフォン・デア・ライエン委員長が発表した対ウクライナ金融支援パッケージが承認された。ただし、10月末までに予定されている欧州議会の承認も必要となる。

[日本/中国] 10月9日、岩屋外相と中国の王毅外相は電話会談を行った。双方は「戦略的互恵関係」の推進と「建設的かつ安定的な関係」の構築という方向性について確認した後、岩屋外相は、日本産水産物の輸入回復の早期実現、中国が設置したブイを含む東シナ海情勢、深セン日本人学校での事件に関する事実解明などの要望が行われた。中国外交部の発表では日本側のこれらの要望については言及されておらず、王毅氏は、石破政権が日中関係に新たな雰囲気と進展をもたらすことを期待していると述べたとしている。

[ラオス/ミャンマー] 10月9日、ASEAN首脳会議がラオスのビエンチャンで開催された。ラオスのソンサイ首相は会議冒頭の演説で、域内の市場統合について顕著な進展があったと述べ、2026?2030年の新目標を含めたASEAN経済共同体(AEC)の新たな実施計画の策定を推める方針を示した。ミャンマーからはアウンチョーモー外務次官が出席した。ミャンマーが定例の首脳会議に参加するのは2021年2月のクーデター以降初めて。

[米国] 10月8日、選挙分析で定評のある「クック・ポリティカル・レポート」はウィスコンシン州選出上院議員選挙について従来までの「民主党優位」から「接戦」に評価を変更した。民主党現職ボルドウィン上院議員が3選を目指すが、共和党の実業家のホブド候補が共和党支持者の支持を固めるとともに無党派層にも食い込みを見せており、投票日まで1か月足らずとなる中で接戦の展開となっている。上院議員選挙は共和党優位であり、4年ぶりの多数党復帰が有力視されている。

[ロシア/旧ソ連諸国] 10月7?8日、旧ソ連諸国でつくるCIS=独立国家共同体の首脳会議がロシアで開かれた。プーチン大統領は、第2次世界大戦で旧ソ連がナチスドイツに勝利して2024年で80年の節目として「団結の年になる」と述べ、旧ソ連諸国の結束を呼び掛けた。CIS首脳はその他、安全保障や経済面での連携強化についても協業した。

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